コバヤシ精密工業　手軽に使える「あおりの鉄人」

「あおりの鉄人」は、コバヤシ精密工業（小林昌純社長、神奈川県相模原市南区）が開発したトラックの荷台で使用できる転落・墜落防止用アイテム。アルミ製で本体重量は3.5キログラムと軽量ながら、荷重は１２０キログラムまで耐える。

同社は主に精密機械部品加工を得意としており、その技術力は小惑星探査機「はやぶさ」が地球に機関した際に、持ち帰ったサンプルの入ったカプセルを分解する作業を担当した程だ。

開発のきっかけは、取引先であるパイプ製作工場から持ち込まれた相談だった。製品出荷の際に、トラックの荷台から作業員が落下する事故が絶えず、対応に苦慮していた。てすり付きの足場やハーネスを備えたが、容易に手間暇がかかることもあり、思うように浸透しなかったという。開発の際にこだわったのは「手軽に使えること」だった。「どんなに良い安全装置でも、使い方が煩雑では利用する機会が減ってしまう」と小林社長は強調する。本品の場合、トラック荷台のあおりに掛けるだけで設置が完了する。

同品を活用するハマショウトランスポート（神奈川県相模原市中央区）の濱崎貴雄社長は、「シートがけや荷締めの際に安心して体重を預けることができるので、積込み現場に用意しておくと重宝する」と語る。

今後は小型タイプなどラインナップの充実を図っていく。小林社長は「現場の意見をどんどん取り入れながら、使いやすく改良を重ねて行きたい」と話す。